そんな都合のいい下駄があります。

写真の茶竹表や前に紹介しました
カラス表などの竹を編みこんだものを
台の上に張ったものです。

通常の下駄は表面が木〈桐〉ですが、
足のベタツキがあると、
なんとなく下駄でもベタツキます。

しかし、写真のように張ってあるものは
いくらベタツキがあっても、
サラリとしてくれます。

今回で３足目になる料亭の若女将さん。

今回はホースヘアの花緒を
お選びになりました。

白足袋にお似合いですね。

カラス表の下駄に
アフリカの泥染めの花緒。

当店ではこのような左右非対象な
花緒はめずらしくありません。

オリジナルの花緒ですが、
柄のインパクトと言うか、大胆さが
地味めの色合いでも、
とてもモダンに見えます。

こちらのお客様も、
以前からこの花緒をお気に入りで、
今回、ご来店前からイメージされて
すぐに決められました。

あえて、白の足袋で・・・と。

上級者のご意見です。

ご来店いただく度に「いいなぁ・・・」と
眺めていらっしゃったお客様。

「売れてしまったらご縁がないのね・・・」と
お話しされておりましたが、
定額給付金に併せて発売になった
地域商品券で、ご購入されました。

「籐表〈トウオモテ〉」、つまり籐で編んだ
ものですが、この表の部分は
今のものではありません。
今はこの「籐表」を創る職人さんが
いないのです。

それじゃこの「籐表」は・・・？と言うと、
表部分だけがむかしのもので、
このカタチに合わせて台の部分を
創ったと言う訳なのです。

後にも先にも、この一足しかない、
貴重な下駄でした。

花緒は正絹の「引き箔織」。

モダンなはきものになりました。